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地上の星
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すごい百姓に出会いました!
その方は宮崎県都城の梅農家「紅梅園」の徳重文子さん。
昭和4年生まれというから私の母親よりひとつだけ若い。

昔、文子さんは宮崎の都城に借金をして土地を買い、三百本の梅の苗木を植えました。
梅の栽培、梅干作りは、失敗と試行錯誤の繰り返しでした。自然を愛していながら、自然は思う
ように云う事をきいてはくれず、幾度となくくじけそうになりながらも、なんとか共存しながらこれま
共に生きてきた。

文子さんは梅のことを戦友と呼びます。
食べ物は土と太陽のエネルギーが作るものとひとくちにいっても、すべて無農薬で野菜や油粕、
堆肥等有機物の肥料だけで生産し、すべてを無添加の手作業で梅を育てるということは、まさに
自然との戦いであり、経済性や採算性から見ても決して楽な仕事ではない。
きっと戦いの連続だったに違いない。

徳重さんが40年以上かけて作りあげた土は、その上を歩きにくいほどに、まるでスポンジのよう
にフワフワとしていた。土の中にタップリの微生物が育まれている為です。

昨年、たまたま読んだ奇跡のリンゴという本。「絶対不可能」を覆した自然栽培リンゴ農家の
木村秋則さんの原点は、実は文子さんの畑にありました。 奇跡のリンゴの木村さんは苦しんで
おられた頃、うちに勉強に来られましたよ・・とサラリと文子さんは云った。

彼女の人生はまさに波瀾万丈。梅の栽培、梅干作りは、失敗と試行錯誤の繰り返す中、牧場経
営や下着の販売をして資金を集めたこともある。体調を崩し、やめようと思ったこともあった。自分
の心を信じ、男相手に奮闘し続けてきた徳重さんは、尊敬すべき女っぷりである。

夫と離婚後、二人の子供を引き取って暮らす日を願いながら肉牛300頭を飼う牧場をやったり、自
衛隊を顧客にクリーニング店を経営していたという話。

アメリカのスーパー用にと出荷した梅が入国できず、現地で処分されることになると知るや否や、
入国に必要だったビザもとらず単身アメリカへと渡り、戦友である梅たちを奪還した話。

骨粗鬆症と診断され、背中に穴があいた。入院して治療するか、それとも仕事をとり早死をするか、
どっちを選ぶかと医者に問いただされ、躊躇なく仕事を選ぶとこたえた文子さん。恥じらいなが
らもコルセット姿を見せてくれ、もう、これ以上長生きしてもなあ・・と笑う笑顔は最高に輝いていた。
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文子さんの夢は、「日本の農業を昔の形に戻す」ということ。
彼女のコルセット姿はほんとうに凛凛しく、まるで鎧を身につけた戦士みたいだった!
いただいた名刺の肩書にはこう書かれていた・・・百姓 徳重 文子

紅梅園 
http://www.nekonet.ne.jp/koubaien/index.htm
by season-bridal | 2010-08-23 08:03 | 日々
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